第1回堀江カップ

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今日は待ちに待ったテンカラ大会の開催日。
遠距離同盟を結んだからふる御夫妻、品川のK隊長と一緒に東京トラウトカントリーへ。

昨日より急速に暖かくなった良好な天候もあいまって、絶好のイベント日和である。

本染めの手拭いと上州屋渋谷店で購入したヘラ浮きケースに入ったレッドスナイパー。まずは吉田先生の心遣いに感謝であります。

今回のテンカラ大会「堀江カップ」開催にあたり特筆すべきはそのルール。
ー当日当所で巻いた毛鉤しか使えないー
この縛りが大会を俄然面白くしている。

また公平を期すため毛鉤を巻く為の2階奥座敷での席順ですら抽選で確定する。
いいルールでしょう、と微笑む先生。

参加者全員に配られたくじのうち、番号の小さい札を引いた者から自由に席を選択できるということで、抽選結果に一喜一憂、悲喜こもごも。
最後の最後に残りくじを引いたこばさんがなんと1位に!

で、ワシの結果。参加12人中10位。有利とされる入口近くは絶望か。

ま、席順はあまり釣果に影響しないだろうから、落ち着いて巻ける場所がいいでしょうな。

照蔵先生による開会の挨拶。釣師の精神にのっとり楽しく頑張りましょう。卑怯な策を講ずるのはやめましょう、というお話である。

各自の席上には思い思いのマテリアル、バイス、フック。
とくじろう的には、王妃様のコンパクトにまとまったバイス&ケース。

そしてIさんのダストボックス。

さらに小次郎さんの仕掛け巻きがひじょーにいいなと、ひじょーに気になるなと思った次第であります。

さて、準備が整ったところで開始の合図。これがおよそ9時頃。

っという間に1番で巻き上げたのは小次郎さん。

がーっと出て行ったが、すぐに戻ってきた。なんとライン持ってくの忘れたらしい。爆笑の中きょ→じさん、こばさんが次々に巻き終わりメインストリームへ降りて行く。
写真写りが文学青年ぽい、こばさんの秘策は先週ちらりと耳にしていた。

予め毛鉤単位で区切られ縒られたマテリアル。なるほどこれなら効率が良さそうだ。

さてそろそろ自分も巻き始めなくては。
用意したいつものバイスに長軸フックTMC200Rをセット(macroレンズと標準レンズを付け替えてると気が狂いそう…)。

そう。今回巻く毛鉤は予め決まっていた。
「女郎蜘蛛」「ブンブン(蜂)」からさらに進化した黒色の蝉型毛鉤「蝉丸1号」。
前回のフライ教室で黒色の「女郎蜘蛛」、先週の沢講習会でできそこないストライプ(実質黒1色)の「ブンブン(蜂)」にアタリがきていたので、最近のトレンドを黒と想定。ダビング材にIce Dub Peacock Black。年明けから顕著になってきている金色ビーズヘッドへのスレ拒絶反応対策としてダンベル型の黒錘を用意。
人と同じのを巻いても、釣り負けてしまうので、ハックルを羽根型にして、他人の竿抜けならぬ毛鉤抜けを狙う作戦である。
自慢ではないがワシ、毛鉤1個巻くのに30分はかかりますから。

で実際に巻いた「蝉丸」。実在した歌人蝉丸は実際坊主だったのか、あるいは只の世捨て人だったのか、正月に坊主めくりをするたびにずっと気になるままなのだが…

一鉤巻き終わったところで周囲を確認すると、まだまだ人が残っている。存外早く巻けたもんだわいとほくそ笑んでいると、どうやら残りの人たちは、予め複数の毛鉤を巻いてから現場に出る方針らしい。



これはうかうかしておれん。というわけで、ここまではさしたる緊張もなく、全体で6〜7番目に外へ出てメインストリームへ降ることとなった。

今度はいよいよポイント決め。
…なのだが、先週までの下見で候補から外れてしまったのが2箇所。

まず萬鱗小橋を超えたところにある通称「ぶっつけの淵」。
ここは魚影濃いのだが、水流がぶつかった所に立てかかった巨木。あれが仕掛けには危ない。ぼさっとしてるとあっという間に引っ掛けて毛鉤をロストしてしまう。毛鉤1個できばった釣りをするにはリスクが大きすぎる。
続いて萬鱗小橋脇の逆巻き。苦しい時でもよく出てくれるお助け大明神的ポイントなのだが、ここも「ぶっつけの淵」同様に、巻きの中心にそびえる水中の小枝、あれがやっかい。あの辺りで毛鉤をくるくる流しすぎると、いつの間にか根がかってしまう。ポイントが岩の向こう側になるので岩にも引っ掛けてしまいやすい。
ここいらでの勝負はギャンブルすぎるのでできれば避けたい。

で今回最初に目がいったのがリッチゾーン最下流域、大岩の上。ここは昨年末に大きな虹鱒を見た場所。先週毛鉤を流して探ってみたのだが、あの班長は出てこなかった。淵の逆巻きの中心にも何匹か魚影が見えるがやる気がないようにみえる。偵察時にやはりアタリなし。
チャンスがあれば入ってみたいが、既に人がいるようだ。

大淵は魚側があまりに敏感すぎて、とりわけ人の気配が多い今回はチャンスが少ない気がする。

残るは上流側の白泡の所と岬か。

どれどれと白泡のほうをのぞくと、なんとここにはまだ人がついてない!

ここは釣り教室に参加した時に吉田先生も宮崎先生も何度かデモをしてくれたのだが、実際ワシがここを釣れるポイントだと確信したのはつい先週の帰りがけに専属運転手さんからアドバイスを受けてからだ。
「とくさん、よく見てみ。ここからは魚見えんけどね、あの大岩の下、あれ、えぐれてるんだから。あそこは必ず魚がついてる。絶対いるから狙わんといかんよ」
手前の浅瀬だけで止めようとしてたワシを見ていた運転手さん、あまりに見かねたのか教えにわざわざ降りてきてくれたのだ。
それ本当ですかと、言われた通り大岩の下辺りを見やると、がりっとえぐれてかなり深くなっているようなのがわかる。気がつかなかった…
「さらにここには2の矢、3の矢、4の矢…と攻めるポイントがいくつもある」
ふむふむと頷くとくじろう。試しに毛鉤を入れてみるとすぐに2回アタリがきた(2回ともバレたが)。
これは明らかにスレてない!

ーここなら釣れる!−

先週それを確信したとくじろう! そしてそのポイントが今、目の前に転がっている!
チャンスじゃないのか、これは! 急に心臓が鼓動してきた。

…が、しかーし。今回参加者の中には運転手さんがいて、その運転手さんもそろそろ巻き終わって降りてくるぞぃ?
ポイント丹念に教えてもらっておきながら、そのポイントに当人より先に入って釣るってどうなのよ?
外道根性丸出しではないか。

せめて運転手さんが毛鉤を流した後に入るのが筋ってもんだろうよ、ってなことを考えるとここも回避。
結局12月のフライ教室でK隊長が5連発するのを目の当りにした大淵先の岬に入ってみることにした。

悪くないはずだ。
よいしょと岬の上に腰をおろす。ハリスと鉤を結ぼうとする。ハリスがアイをなかなか通らない。手が震える。
なんでだろう? いざ釣る段階になってようやく我に返ったのか、急にアセリが出てくる。
ー早く結ばんと、不法占拠で退場になるぞー
わけのわからん強迫観念がワシを襲ってくる。
胸元に提げたカメラも重苦しい。既に正常ではなくなっている。

ようやくアイを通す。糸を結ぶ。ハサミで糸を…
ハ、ハサミがない!
しまった! 2階の鞄の中…

なんか探さないと…
上着についてる全ポケットをむしり返した後、次にズボンの中をまさぐってみると、予備の糸きりバサミが偶然入っていた。

あぶねー、終わるとこだったぞ…
管理棟からは競技者が続々降りてくる。もう下がれないのだ。

ハリスを切り揃えて岬の上流部から毛鉤をキャスト。
後は蝉丸が魚の待ち受けてるところに向かってゆっくり沈んでゆけば…

…なっ ハリスが沈まない!
どうして、とハリスの先を見やるとなんと蝉丸が沈んでない!
なんたる不覚! ここでドライはねーだろうよ!

なんだか頭がボーッとする中、原因らしきものに気づき始める。
…思い返すとワシ巻いていたかも。
ウェイト用のワイヤーと一緒にフローティング材を!

アイが上を向くようにアイ側半分にだけつけたつもりだったのだが、やりすぎだったようだ…
本番でこんなことを試してしまうのが、ワシらしいといえばワシらしいのだけど。

浮いちゃったか…
…しかたない一度管理棟に戻るか…

放心状態の中後ろを振り返ると、なんと大淵前では釣りの真最中。脱出口をふさがれて、これでは退却もかなわんぞ。
嗚呼、気づかなんだ…

これは詰んだな…
さすがに…
詰みましたね、完全に。

とくじろう、竿先見つめつ、岬の先で蝉丸と隠者生活。

(虫が飛んでるのには驚いたけど)


とりあえず水面へのラッキーパンチがあるやもしれぬのでも少しは粘ってみるとして…

皆順調なのかなぁ…
と周りを眺めてみると、きょ→じさんの毛鉤が根がかり!

いつもと違って毛鉤1本のキワキワの釣りなので見てるほうも綱渡りの中継を見ているようでハラハラしてしまう。

しかし…

これはこれで実に面白いのである!
ここは周囲にも目が利くので、適度にアタリが来てないか確認しながら他の人の釣りも観察。
Uさん対岸へ。Uさんもきわどい場面が。

専属運転手さんも実釣モード全開のようだ。

最初の1本が出るまでは、バレたり根がかったり、皆緊張するのだなぁと妙な一体感。
しばらくすると品川のK隊長が魚を提げて戻ってくるのが見えた。速いなぁ…

ワシの毛鉤も水になじんだのか、浮かず沈まずの水深をキープするくらいまでにはなった。
かわらずアタリはないけれど。
30分程流していると、K隊長が大淵の前まで降りてきたので、これを機会にとようやく陸に戻る。
入れ替わりになったK隊長とワシががんばった岬。

でいよいよ専属運転手さんお気に入りのあの場所へ行ってみる。
運転手さんと入れ替わり小次郎さんが入ったばかりだったので、もう少し上流にある淵のほうをしばらく試してから戻ると、運転手さんが頑張っていた。
「入ってみる?」
と訊かれたのでありがたく譲って頂く。運転手さん4連続でバレたらしい。先週ワシが入れた時もバレ続けたし、ここの魚は鉤外すのがうまいんだろうな。
気をつけなければと思いながら岩の向こうに投げ込むと、待つ間もなくグーッと左手にアタリがきた。
これは凄い。やる気まんまんなのだな…
竿をゆっくりとあげる。続いてコーンとがっしりかかった感触!
魚が鉤を外そうとブルブル動く振動が竿に伝わる。
1、2…
あーっ
3を数えたかどうかのところでプツリと魚がばれ、とくじろう叫びそうになった。
(××××ーっ!)

ハリスの先を見た。毛鉤がない。
代わりに糸がぐじぐじっと撚れている。なるほど、結び方が弱かったのね…?

一回あるかないかの貴重なチャンスをまたまた自分のミスで…

肩を落としながらポンドへと向かうと途中できょ→じさんと一緒になる。
聞けば彼も毛鉤をパクられたらしい。

きっと似たようなことが起こっているんだな、と想像するとなんだかおかしくなった。
二人で励ましあいながら奥座敷へと戻る。
静かになったなぁ。

もう一匹。今度はワイヤーをさらに増やして巻く。羽根の色も少し変えてみた。
今度は沈むはず。これならいけるんじゃなかろうか。

30分程ロスしたが、もう一度あの場所へ。
一息ついてからピッと毛鉤を入れると、さすがに場がスレてきたのか、今度はアタリがなくなった。
まぁしばらく待ちますよ。
1、2、3…27、28…
あーっ
29を数えたかどうかのところで今度は根がかり。とくじろうさすがに叫んだ。
「せみまるーっ!」 (せみまるに罪はないのだが)

大会ならでは。釣れない時間が長くなればなるほど正気を失っていく、この負のスパイラル。
もうひと鉤巻きなおし、再び岬へ出たところで試合終了のブザー。

初の釣り大会、終わる。
これほど一匹が遠いとは…

ポンドの前では記録の集計。

結果優勝は最後の最後で逆転したK隊長、準優勝は専属運転手さん。
各チームの一位には堀江先生からプレゼントがある、ということでK隊長と小次郎さんが受賞し、毛鉤を交換。
なんだかんだで結局実力通りな結果になってしまうのにみょーに感心してしまう。

昼食中も差し入れのものがテンコ盛り(ありがとうございました)。和やかな祝賀会ムード。

午後は吉田先生による実釣デモ。
スレきった管釣でどう釣るか、がテーマ。

キャスト後はラインをひっぱられないように一度上流側へメンディングするのもよいとのこと。

管釣ならではの最終奥義も披露。

その後はポンドで豆まき大会とあいなりました。

優勝者と

準優勝者。余裕綽々ですから…

今日のワシは結局蝉丸とともに坊主となったが、また面白い方々とも知りあえたし、実にいい大会だったと思う。機会があれば、ぜひまた参加したい。そしてまず1匹目を!

ーこれやこの 行くもかへるも わかれては 知るも知らぬも テンカラの席ー   とくまる