沢釣行とフンザと

今日は春先に続いて人生2回目の沢釣行。
奥多摩駅の改札脇にある登山届ボックスに届けを入れそのまま集合場所の東京トラウトカントリーへ。
本日の同行者は吉田毛鉤会の吉田代表同会員のきょ→じさん。早朝4時過ぎ、まだ薄暗い中早速釣行開始である。
スマートフォンで写真頑張ってみるもブレまくり。さすがに限界があるか?

一眼携行したいのだが、一たびカメラやらレンズやらが加わると容量的にも重量的にもザックが一挙に圧迫されてしまう。はたしてそんだけのもん背負って無事山を上がれるんだろうか…
自分のことながら甚だ疑問。

防水に対する対策もイマイチ…もう少し落ち着いてからでないと無理ですな。
てことで今日は代わりに熊スプレーを準備。試射もOK! いざとなったらこれで闘うのだ!


さてさて。谷への入口まで歩いたところで一度休憩。各自装備の調整。
その日によって服装が微妙に寒かったり、逆に扱ったり、はたまたザックの中身の位置が…とか、気になったりするので、スタート直後の小休憩はひじょーにありがたい気配りであったりする。

でここからは林道を逸れて山道へと入って行くのだ。傾斜もそれ程きつくないし、これはいけそうだなと楽観ムードでいると…

あれれ…
スイッチバック、けっこうな九十九折の連続!

(…あまりに苦しくて写真を撮る余裕がありません…)

今回の案内人の吉田代表はきょ→じさんとワシという大柄コンビを気遣ってターンのところにくる度に小休止を入れてくれるのだが、それでもHPの回復が間に合わない。
かといって遅れるわけにはいかんのでひたすら黙々と登っていると、5回目のターンのところで遂に眩暈がしてきた。

うげぇ!きもちわりぃ… もうダメ…
「ちょっとタイムをお願いします」
ねをあげたヘタレとくじろう、山道にダウンした。

はぁ…はぁ…

むぅ…
朝飯が少なすぎたのか、はたまた徹夜なのが響いてるのか…
(↑単純に体力不足だろーがよ、おい!)

とにかくザック。こいつが背中に貼りついて石でも背負ってるかのように重く感じるので、一回地べたに降ろす。

ふぃ〜
息苦しかったぜ。はぁ…はぁ…
休みをもらって息づかいが落ち着くのを待つ。
歳をとるとともに感じる体力のなくなり加減が実に切ない。

休んでいる間に聞いたのだが、こういう時はへたばりきる前に休むのが長く登る時のコツだそうだ。
消耗しきってしまうとリカバリもきかなくなる。

そういえば以前にもそんなことが…
もう10年以上前、シルクロードをひたすら西方目指して旅していた途中、パキスタン北部のフンザの村にぶらり立ち寄った時に、これまたぶらり日本からやってきたノリオくんという青年と2人、レディースフィンガー(その名の通り女性の人差し指みたいなとんがった形の山)を見に行こうと村の外れから何百mか上の丘目指して上がって行ったことがある。

ふもとから望むレディースフィンガー(中央の小さなピンク)。

ふもとの村からはその山のほんの指先部分しか拝めないのだが、かなり目立つのでありゃなんだと気にはなっていた。いっしょに行けばそいつの正体がわかるというのでかなりはりきって登り始めたのだが、途中九十九折のをショートカットしていった結果、最後は疲労が激しすぎて5分休んでは3歩進む…みたいにまでなり…

地元の小学校前で。余裕。

ここもまだまだ余裕。

名峰ラカポシ(7788m)。次第に山道っぽくなってくる。

雪解け水はどこもこんな色。前方にはウルタル(7388m)。

途中芝刈りのおじいさんと。

ようやく見えた爪の先レディースフィンガー(6000m)とフンザピーク(6600m)。

丘の上まで通常3時間のところなんと6時間もかかってしまった。

羊飼いと。

カメラ以外装備らしい装備は何もないので、薄暗くなる中、帰りは慌てて下った。

あの時はどうしてあんなにへたばったのか結局その後もよくわからずにいたが、今思い返してみれば、後先考えず勢いだけで突き進んでいったのと最初に飛ばし過ぎたのが原因の一つであったのは間違いない。
ノリオくんはフンザを訪れるのは2回目だと言っていたが、確かにあの辺りは世界でも名峰と呼ばれる山が多く実にいい所だと思う。
自分が訪前に知っていたのはK2(それすらネパール、カトマンドゥの安宿で知り合った山男に「あの山こそ山の中の山」とすりこまれるまで全く知らなかった)だけだったので、わずか4,5日の滞在でそのままカラコルムハイウェイを中国へと抜けてしまったが、機会があれば写真の腕を磨いてもう一度リベンジに行きたい(もちろん撮影だけね)。

…さて、そんなことを考えてるうちに眩暈もおさまったので、再び歩き始める。
(休息を入れたせいか以後体調がすっかりよくなった)

写真でみるとたいしたことなさそうに見えるが実際はけっこうなかなかな沢筋。
ここはガレ場もあるし、足元をよく見て注意しなければ。

丁度すぐ近くを石がカーン、カーンと音をたてながら谷底へと落ちていったので、音がおさまるまでの時間を測ってみた。
3秒後にカーン、しばらくしてまたどこかに当たってカーン…コロコロコロ…
10秒後、カーン… カラカラ… (よくぶつかっとるな…)
………
………
25秒、カーン…

どんだけ落ちてくねんっ!

もしここを落ちたとしたら…
運よく死なずに済んだとしても、底もよく見えないし、這い上がる技術も体力もない。一人で誰にも知られずにのたれ死にするんでしょうな。
来る途中あちこちで尋ね人の貼紙もみかけたので、やっぱりここは慎重に入らんといかん。

岩の行方を眺めるきょ→じさん。

メットもしっかり被ってかなり本格的な装備(ブラインドから現れた時は一瞬熊かと(笑))。

そうこうするうちにようやく現場に到着。早速代表が偵察に向かう。

ここもきつい(特に帰りが!)。雨の日はかなり難儀しそうである。

既にぬかるんでいるので慎重にいく。

ようやくメインの釣りポイントへ。

毛鉤山人石化けの術。本領発揮の戦闘モードに。

各自エリアに別れて釣り上がって行く。
ワシも何ヵ所か頑張ったが、なかなかでない。
でこりゃダメだと、立ち上がるとサーッと魚が走ったり…
代表にもわざわざ場所を譲ってもらい
「魚が見えてるからあの辺に入れてみて」
と、キャスト場所まで教えてもらいながら、いざ! というところでキャストがままならず、間に魚に逃げられるという漫画のような展開。難しいぜ沢釣りの世界、と悩んでいると、遠くからワシを呼ぶ声。何事かとかけつけてみると…

既に撮影が始まっていた。はやっ!

魚も弱らせないし、ゆっくり撮れるしで、こりゃいいと思ったが、代表もやはりカメラをどうするかで悩んでいるとのこと。

代表に沢釣りの極意を教わりながら釣りあがっていく。

きょ→じさんもかなり頑張っているが、釣果はまだのよう。

時間も時間なので一度食事休憩「吉田's Cafe」モードに。
コーヒー、味噌汁に敷物まで頂いてしまった(ごちそうさまでした)。
味噌は疲労回復効果があるということなので、これは持参するようにしなくては。

で、もう一人。こちらでも湯を沸かしている(鍋でかくないか?)

でよく目を凝らすと、小皿になにかとりわけてある。
さっき鍋の中にめったやたらと何かをぶちこんでたが…

煮、煮干し!? 出汁用って!?
全身汗だくになって鍋と材料持って山を登りながら、そこだけは譲らない。
沢麺屋狂次の麺へのこだわり感、ぱねぇっ!

ここでラーメン屋やったら大成功するんじゃないかと思ったが、よくよく考えるとそもそもここまでやってくるお客さんが日に何人いるのか…

代表は代表で、水入れるだけで御飯になってしまうパック。
これがあれば遭難した時に助かる確率があがりそう。山に限らず普段から備蓄しておいてもよさそうだし。

3人でしばしまったりと時を過ごす。時々吹き抜ける風が実に気持ちよい。
食に、写真に、そして釣りにと、各々が切磋琢磨して、また語り合える。なんと楽しいことであることか。

前回の沢初釣行でも感じたのだが、沢ではキャスト1発1発が非常に重要で、ここでミスを犯すともうそのポイントは全て終了になってしまうのである。食事後も頑張ったのだが、また走られてしまった。
そんな中きょ→じさん待望の1尾。
竿が藪に絡めとられたりして、相当悪戦苦闘した模様。

結局自分自身で確認しただけで3回走られてしまった。
もう少しピンポイントでひっそりと打ち込む練習をしないと無理です。

一段落したのでそろそろ帰ることに。
ゆっくりと来た道を下り始めたが、突然目の前を進んでいたきょ→じさんが、岩場をずるずると滑って2m程ずり落ちてしまった。
踏み込んだ足場が崩れたらしい。下に滑り落ちた反動でそのまま後ろ向きにひっくり返った(いやぁびっくり)。
幸いザックとヘルメットがいい具合に保護してくれて怪我はなかった。装備の重要性をまざまざと実感。

ほっとするきょ→じさん。あぶなかった。

帰る途中釣りあがってきた沢を覗き込むと、なんと魚のいることいること…
きっと現場へのアプローチが悪く、ワシ自身が気がつく前に散らしてしまっていたのが無数にいたんだろうなぁ。

代表もじっと水面を覗き込む。

3人帰り道…と思いきや…

どこぞで見かけたことのある2人を河原で発見。Mさんとその友人だった。

3本しめじから5人衆へと膨れ上がった。

TTC。さらに別働隊組やK隊長と一緒になって皆で昼食を。

実は昼食が済んだところぐらいから、あまりの眠さで半眠り状態。ほとんど意識がない。
岬の大岩の上で竿握りながらいつの間にか眠ってたり…

ふらふらになりながらイブニングがんばる。

2尾あげて残り67尾。