地獄の沢釣り特訓

最後に渓魚に逢ったのはいつだろう…何もいえなくて、鬱@とくじろうです。

さて今回。沢麺屋狂次さんが奥多摩の釣行行脚に出立するというので付き添いにのってみることにする。引率は吉田毛鉤会のミスタースパルタンこと品川のK隊長。名人クラスの腕を持つ沢釣りの実力者であるからして、心してかからねばならん。
そんなことを考えながらひたすら奥多摩を目指し、途中登山届を提出しつつ集合場所に到着したのは午前3時半。
合流後そのまま渓の奥へと進もうとしたが、日原街道工事中。

9月末だか10月末だかよくわからんが、とにかくそんな頃まで夜間はずっと通行止。
朝6時の通行止解除まで待機。解除を待つ車の列も凄い。後ろのほうは諦めてUターンしていく車も多数。
と、幾台か後ろに宴のTさんが。
ここのところ沢の魅力にどっぷりはまり、ガンガン入っているそうだ。羨ましいのぅ。
とりあえず宴のTさんの加わったワシら4人と、他、釣人多数にてひたすら工事完了待機。

というわけで工事も終わり出発。ゆっくりと高度をあげていくのだが…
K隊長と宴のTさんが、談笑しながら楽しそうに進む中、後方の狂次さんとワシはついていくのがやっと。
息を切らしながら、無言で黙々と進む。
「まだ何も始まってないんだけど…」とK隊長も苦笑い。

どこを攻めるか4人でいろいろ悩んだのだが、結局当初の予定通り、宴のTさんはもう少し奥を攻め、ワシたちは手前からということになり、途中で別れ3人で現場へ。
生い茂った木々に半分隠れてしまった川面は非常に暗い。
「まずは小さ目のドライ毛鉤で様子を見るべし」とK隊長から策を授かったので、白いパラシュートを何回か投じる。
流し方が雑すぎるようだ。
「もっと端のほうも丁寧に探ってみないと(これだけ人の入ってる)この時期は厳しいぞ」と貴重なアドバイス

狂次さんもアタリはあったがバラしてしまったらしぃ。

今回持参したのは前回と同じく天空渓愚スペシャル32(源流)とテンカラミディ
「さっきから見てるとどうも投げにくそうなんだよな。ちょっと貸してみて」
とワシのキャストコントロールの悪さを見かねた隊長。竿を渡して試投してもらった。

結果…
 「これほどキャストしやすいタックルは他にない!」
とのこと。確かに隊長が振ると寸分の狂いもない。エエ。シッカリ引導ワタサレマシタ!
ワシのはフォワードキャスト時の力加減が強すぎるらしい。レベルラインと同じような要領でキャストするとこうなりやすいそうだ。とにかく前方に振る時は置きにいくくらいにパワーを抑えて、とのこと。

そしてもう一つ。
「キャスト後は一切動かず、水面を注視すべし」
キャスト後によろけたり、足元を確認したりして、針先から目を外すと知らず知らずのうち竿先が動いて魚を散らしてしまいやすい。
なるほど。これはかなりやってしまいがちなのだよなぁ。
今日はこの辺りに大いに注意するようにする。

で先週宴のTさんが魚を出したというところに辿り着いたところで、K隊長からここをやってみなさい、と合図が。
これは千載一遇のチャンス。いざ!

とキャストすると、なんと仕掛けがラインから外れ、ハリスごとぶっ飛んでイキマシタ…
ハァ…と隊長。

シ…シネル…

もう隊長もあまりに暇を持て余し過ぎたようで、眠気覚ましにと急遽参戦。
と、すぐに1尾釣り上げ「魚がいないわけじゃないみたいだよ」と。
追い込まれてきましたよ、これは。

さっさと釣り上げんか! と狂次さんを背後から狙う隊長。

いつの間にやら前後入れ替わる。
陽もすっかり高くなり、蝉も所狭しと鳴いている。
隊長からは、ドライでは出にくい時合いになってるので水面下を狙い、ラインでアタリを取れ、と指示アリ。
了解。

きわどい箇所を進む。と前方から、ちょっと待って、と隊長の声が!
そんな… こんなところで…

狂次さんと2人、岩場を這い上がると、見事綺麗な岩魚があがっていた。
沢釣りでは100mに1尾くらいをベースにしてガンガン先に進んでいったほうが効率がいいらしい。
その為にも、トラブルやら仕掛けづくりに時間を割かれないよう、十分作戦を練ることが肝要になってくる。
「もう少しペースを上げて釣り上がれるようになりなさい」と、今後の課題ができたところで昼休憩となった。

ゆっくりと食事の準備に入る皆様。

で。んで、ですよ。
本来なら、いよいよ沢麺屋狂次の狂いぶりをレンズに収めることになるはずなのだが…
やりました。いや、もとい、やられました。
とくじろう、不覚にもカメラ兼スマートフォンを落としました。ええ。沢の中へ。
急いで拾い上げましたが、裏蓋は、どんぶらことそのまま濁流に消えてしまい…
残った本体もレンズに霜がつくありさま。

これはこれでソフトフォーカスっぽくていいのかも?

というわけで、沢釣行はお開きとなり、さて帰ろうかと車停めのスペースまで皆で戻ってきたところで隊長が一言。
「まさか、このままフツーに帰れるなんて考えてないだろうね?」

ん? えっ?

「沢で坊主だったんだから、補習がわりにTTCで虹鱒10尾くらい釣り上げてもらわないとね…あぁヤマメだったら1尾でいいよ」

出た!地獄の補習コース。それも10尾! 生涯釣り上げ数30尾やそこらのこのワシに…
せめて5尾でと嘆願し、なんとか許しを得る。
よし! なんかわからんけどテンションあがって武者震いしてきたわぃ。今日は釣っちゃるぞ!


…で5時間後に判明するTTCでの釣果。

狂次さん…10尾
ワシ…1尾(さらに釣り上げたのが大淵だったためノーカウント扱い)

荒い岩礁に打ちつけられた波しぶきのように、もろく砕け散るワシの魂…
もうこの世を捨て去り隠者となろう。あの空にたなびきたる雲となろう。

ヒューヒューと突っ走るバイク上で、渓魚のバカヤローと泣き叫びながら家へ戻る。


1尾減って残り66尾。