フライ教室

フライのキャストを勉強しに東京トラウトカントリー(TTC)のフライ教室に参加。
テンカラの時もそうだったが、初回ってのはかなり緊張しまくる。フライは初めてだし、天気は下り坂予想だし、そう簡単に釣れるとは思えないんだが…
今日はかなり苦戦するんじゃないかってのが事前の個人的予想。ただ、かといってボウズになってしまうのも無策すぎる。そこで昨晩ワシが思いついたのは、教室が始まる前小一時間の間にテンカラ竿でセコくボウズ逃れをしてしまえって作戦。未明に家を出立し朝7時には順調にTTCに到着したのだが、実際教室に入室するとなんとなんと本日の講師、宮崎ロッドの宮崎先生も既に到着してる。はやすぎー!
初対面のフライの先生の前でいきなりテンカラ竿振り始めるってのは、ケンカ売ってんのかコノヤロー的な空気になりかねんので、ボウズ逃れ作戦は自重し、そのままストーブの前でフライの仕掛け作りプレ講習へ。
さてさて、フライではラインとハリスとの間にテーパー状のリーダーというのを挟むらしい。仕掛けを長く取れる分テンカラより凝ったことができるってことか、あるいはテンカラがシンプル過ぎるのか。ハリスとリーダーだけで竿長越えてしまうのが凄い。ライン出さずにこの部分だけでテンカラできそうな気がせんでもないんだけど…
先生にラインとリーダーの繋ぎ方(ネイルノット)を教えてもらっている、というより結んでもらっていると、他の生徒さんたちもポツポツと到着したので、あらためて座学講習開始。
ロッドやラインの番手、マッチする毛鉤の大きさに始まり、ロッドの組み立て(テンカラと同じで先端から組み立て、しまうときは逆に根元から)、リールの取り付け、仕掛けの結び方等、実釣に向けての下準備。
座学に続いては小雨ぱらつき始める中、ポンドでキャスト練習。
まずはラインの長さを固定してテンカラと同じようにして振ってみる。
テンカラと同じでバックキャストの時は上に引っ張り上げる感じにしたほうがいいらしい。
サムオントップ、インデックスフィンガーに加えて、Vグリップという持ち方があることも教わる。
フライ用のシューティングラインはテンカラ竿でよく使っているので、似たような感じでビュンビュンとフライロッドを振っていると、時々タイミングが狂う。で一度タイミングが狂うと体がリーダーに囲まれワシャワシャッとなってしまう。
あぶねー。いま毛鉤が顔の横飛んできたぞ。これは油断ならん。
バックキャストに入る前にラインを水面からしっかりピックアップしておかないとなるらしい。
以後ピックアップに特に気をつけるようになる。
フォワードキャストも力を入れるのは時計の針でいう12時まで。「以降は車にブレーキをかけるように(この表現が素晴らしい)して目の高さで止めるべし」という先生のアドバイスを守ったところキャストが落ち着いてきた。
ーこれ、いけるんじゃないかー
調子にのるとくじろう。よせばいいのにロールキャストの真似事を始めると、先生すっと前に出て、キャストの応用編を開始する。

サイド…(これは予測の範囲内か)
ロール…(ふむふむ)
カーブ!(やややっ)
ぐるぐる巻き(新体操ですか)!
昇り龍(かわからんけど、と、とにかくそんな何か)!

もはや竿捌きというより太刀捌きに近い華麗な動き。
先生の一挙手一投足に生徒からどよめきの声湧き上がる。
これ、凄すぎないか!

ポンドおおいに沸き立ったあとそのままメインストリームに降りて先生の模範キャスト観覧。
日原川激流を挟んだ対岸にある瀬脇を狙うのだが、ここフライラインをまじめに水面に垂らすとあっという間に流されてしまう。
果たして先生どうするのかと見ていると、キャスト後、秒1〜2回のペースで縄跳びよろしくピョンピョン、ピョンピョンとメンディングを入れ始める!
でメンディングし続けながらアタリを待つというこの戦法。なんと忙しいことか!

ー尋常じゃない!これはもう神の業、人間でござらんー

感嘆するとくじろう。

でも後でやってみよ!(よしゃいいのに…)

模範キャスト終了後、生徒各自実釣に入る。
先生のイメージのまま第1投を投じたが、おっと…リーダーとハリスが絡まりそのまま解体作業に30分。そこから14番のパラシュートを30分淵の前で流したがアタリはなく、岩に引っ掛けてロストしてしまったところで昼休み。
午前中は釣果なしのまま終わった。

昼食の野菜カレーを食べ終えた後、キッチンメイフライでひとしきり考える。

雨は降り続くし、アタリもないし、これはキビシー流れになったぞ…
どうしよう?
ここはいつもの通り抑えの切り札に登板してもらうしか…

ミスタービーズヘッド先生、出番です!

ブルペン(毛鉤入れ)から出てきた金色ヘッドのミスター、緑色のずんぐりむっくりした体をゆっさりと揺らしながら、あいわかった、とハリスに結ばれていく。
吉田毛鉤製のビーズヘッドニンフを見た宮崎先生も「お!実線モード突入ですね。いいですよ。いいですよ」笑顔でうんうん頷く。

野球でいえば9回裏0死満塁。一打サヨナラの大ピンチの江夏豊
投入さえすれば必ず一仕事やってのける。投げ入れれば必ず釣れてくれる。毛鉤界の江夏さんである。

んじゃ最初から先発で使えばいいんじゃね?って話になるのかもしれんが、そうしてしまうとそれはそれで今度はリリーフ陣の数が一日持たない。
ワシTTCに行く度3個ずつ買い足している(それ以上買うのは他の生徒さんもいること考慮すると気が引ける)のだが、一日釣りすると3個は必ずロストする(自慢してどうする!)ので、終盤はいつもギリギリになってしまう。
何回か管釣毛鉤釣りをしてみてその辺がわかってきたので、江夏さんにはここぞという場面でいってもらうことになってきたのである。

午後1時になり実釣再開。
江夏さん、大淵からスーっと潜行開始…潜行…潜行…潜行…

うしゃー!
竿を立てると、魚がかかった!
ラインのスラッグを手で引きながら岸に寄せ…あっさりフライ釣りの初虹鱒獲得。
江夏さん、御勤めご苦労さんどす。

記念すべきフライ釣り第1号。写真撮っとくか。
竿を置く。雨が降ってる為メイフライに置いてあるザックのカメラ取りに行く。
戻る…

あれれ。虹鱒がいない!
リーダーからハリスの先をたどっていくと、大きな岩の下。管理棟に行ってる間に逃げてしまったらしい。
魚にしてみりゃ人生かかっとるわけで、それもしごく当然てば当然。
ラインを引っ張る。
う、抜けね!
根がかりしてしまったらしい。引っぱる…引っぱる…

うしゃー!
根がかりは解消したが、あらかたの予想通り、ハリスの先から江夏さんが消えていた。
ロスト、江夏さん…
イタイ!

カメラ戻しに管理棟に戻る。
雨天の想定が足りなかったな…
防水のザックカバー買っとけば、ザックも背負えるしこんなことには…
ザックからタモだけ出して実釣現場に戻る。

今度は隣の淵に移動。
まぁ一匹釣り上げたことでだいぶ楽にはなった。
で、もう少しいってみたいと同じくビーズヘッドの郭源治を投入。
源さん、たのんます。

投入…流れる…流れる…

うしゃー!
釣れた。エースすげーな。
雨ですべるので高さ2mくらいの淵をゆっくり水面まで一歩一歩慎重に下る。
下りきると…

虹鱒がいない!
ハリスの先に目をやると…またも大岩の下。
淵を下ってる間にテンションが緩んで逃げ込んでしまったらしい。
ヤメテ、岩の下は。

嫌な予感…
ハリス抜けね!(やっぱり…)
嫌な予感…
引っぱる…引っぱる…ロスト!
源さんもかよ…

その後呆然と浅瀬を流していたら、底石に引っかかり角三男さんまでロストしてしまった。

リリーフエースあと1人しかいねー!

てか、淵ばかりだとフライの意味なくないか!

宮崎先生が縄跳びメンディングデモを行った瀬に移る。
キャスト開始。
フォルスキャストを9回、10回、11回…そんな感じで繰り返しながら、なんとか対岸に達するくらいまで到達。

気のせいかな、対岸の魚が逃げ惑ってるように見える。
先生こんなにブンブン振り回してたかな…


構わんさ。
最後の切り札藤川球児アプローチ開始…着水!

メンディング…
… … …無理!
無理でしょ、さすがに。

流されてしまって釣りどころでない。

結局のところ釣果は5匹。今日は雨の中フライロッドを使ってテンカラ釣りしました、って感じだけで終わってしまった。

フライキャストの世界も相当深そうだな…